新年度のゼミに向けて

 大学が春休みに入り、学内で見かける学生の姿はまばらになった。多くの教員はここが唯一の時間とばかりに研究をするが、来年度は旧課程と新課程が混在するためほとんどの教員の授業時間が増え、学務に加えて授業準備に追われる人も多いだろう。私も昨年度は通年で14コマほどだった授業が20コマへと増加する。初任よりもむしろ、2年目3年目の方が忙しくなるのは、どこの業界でも同じだろうか。


 授業準備をする際、私がとりわけ難しいと感じるのがゼミ運営である。どの授業にも言えることだが、指導者がカンカンになって教えたからと言って学習者が広く深く学ぶわけではない。学生が自ら考える余地を奪わずに、つまり教育意識を隠しつつ教えるというのは至難の業だ。「先生はこれを望んでいるんだな」という意図が見えてしまうと、教育的関係にある学習者なら大抵、教員の意図を汲んだ「答え」を提出しようと顔色を伺って自らの学びを矮小化してしまう。もちろん授業のめあては提示するが、そのめあてを達成する過程で多くのことを学んで欲しいと思う。授業としてのゼミのめあては考えに考えたが、次の様なシンプルなものしか出てこないのだから。


 まずは学術的文章がしっかりと読めること、つまり適切に要約できること。そして、自分の研究にとっての先行研究を探しだし、それらを整理して自分なりに設定した問題を一般化すること。最後に問題に対する解答と解釈を自分の言葉で表現できること。このめあては、決して到達目標ではない。程度の問題として、4年間でどのくらい達成できたかを、卒論を書いた後振り返って欲しい。考えるための時間と空間は教員が用意しないといけないし、苦手な「お勉強」にもその有用性を感じ、時にはワクワク、時にはドキドキした気持ちでゼミにきてもらわなきゃいけない。授業外のゼミと併せて、この大学に来て良かったと思えるいいゼミにしていって欲しい(していきたい)と心から思う。



神戸女子大学 文学部 教育学科

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